労働問題

ご相談事例

 

次のような、ご相談がございます。弁護士に相談すべきかお迷いでしたらご参照ください。
なお、個人情報保護のため、複数の事例を組み合わせたものです。

◆採用前
 
・転職活動をしています。役員面接を受け、口頭で採用内定と言われました。メモ、メール、書面、録音など証拠はありません。会社から、今回は採用を見送らせて頂きます(不採用)との連絡を受けました。私は、会社都合で内定を取り消されたので、損害賠償を求めたいと考えています。できますか。
 
・採用内定通知書を貰いました。会社から音沙汰がありませんでした。突然、会社から、あなたが採用内定を辞退した、と言われ、採用がなくなってしまいました。納得いきません。損害賠償を求めたいのですが、訴えることができますか。
 
・労働問題は、裁判の他に、労働審判という簡易なものがあると聞きました。この使い分けについて教えてください。
 
◆採用後
 
・求人票と労働条件通知書の異同
ハローワークの求人票(正社員・期間の定め「無し」)をみて応募し採用されました。労働条件通知書(契約社員・期間の定め「有り」)が交付されました。求人票と労働条件通知書記載の労働条件が違います。
@労働条件通知書の「本通知書を確かに受領いたしました」にサインしてもよいですか。これが雇用「契約書」に署名押印した場合はどうですか。
A求人票記載の労働条件を使用者に求めることは可能でしょうか。
B最初の説明と話が違うので、退職(労働契約を解除)したいのですが、できますか。
C私は、このまま文句を言わずに働いても、異議申し立ては可能ですか。

D何らかの金銭補償を求めたいのですが、可能ですか。
 
※職業安定法5条の3
「(労働条件等の明示)
第五条の三 公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者、労働者の募集を行う者及び募集受託者並びに労働者供給事業者は、それぞれ、職業紹介、労働者の募集又は労働者供給に当たり、求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者に対し、その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
○2 求人者は求人の申込みに当たり公共職業安定所、特定地方公共団体又は職業紹介事業者に対し、労働者供給を受けようとする者はあらかじめ労働者供給事業者に対し、それぞれ、求職者又は供給される労働者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
○3 求人者、労働者の募集を行う者及び労働者供給を受けようとする者(供給される労働者を雇用する場合に限る。)は、それぞれ、求人の申込みをした公共職業安定所、特定地方公共団体若しくは職業紹介事業者の紹介による求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者と労働契約を締結しようとする場合であつて、これらの者に対して第一項の規定により明示された従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件(以下この項において「従事すべき業務の内容等」という。)を変更する場合その他厚生労働省令で定める場合は、当該契約の相手方となろうとする者に対し、当該変更する従事すべき業務の内容等その他厚生労働省令で定める事項を明示しなければならない。
○4 前三項の規定による明示は、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により行わなければならない。」
 
※職業安定法施行規則4条の2第3項
「3 法第五条の三第四項の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。ただし、第八号に掲げる事項にあつては、労働者を派遣労働者(労働者派遣法第二条第二号に規定する派遣労働者をいう。以下同じ。)として雇用しようとする者に限るものとする。
一 労働者が従事すべき業務の内容に関する事項
二 労働契約の期間に関する事項
二の二 試みの使用期間に関する事項
三 就業の場所に関する事項
四 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日に関する事項

五 賃金(臨時に支払われる賃金、賞与及び労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)第八条各号に掲げる賃金を除く。)の額に関する事項
六 健康保険法(大正十一年法律第七十号)による健康保険、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)による厚生年金、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)による労働者災害補償保険及び雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)による雇用保険の適用に関する事項
七 労働者を雇用しようとする者の氏名又は名称に関する事項
八 労働者を派遣労働者として雇用しようとする旨
九 就業の場所における受動喫煙を防止するための措置に関する事項」
 
※虚偽広告の禁止(職業安定法65条8号)
「第六十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一〜七 (略)
八 虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を提示して、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者」
 
※求人票の法的性質
東京高等裁判所昭和58年12月19日判決・判例タイムズ521号241頁
「求人は労働契約申込みの誘引であり、求人票はそのための文書であるから、労働法上の規制(職業安定法一八条)はあつても、本来そのまま最終の契約条項になることを予定するものでない。」
 
※京都地方裁判所平成29年3月30日判決・労働判例1164号44頁

「求人票は,求人者が労働条件を明示した上で求職者の雇用契約締結の申込みを誘引するもので,求職者は,当然に求人票記載の労働条件が雇用契約の内容となることを前提に雇用契約締結の申込みをするのであるから,求人票記載の労働条件は,当事者間においてこれと異なる別段の合意をするなどの特段の事情のない限り,雇用契約の内容となると解するのが相当である」
注)求人票はハローワークにおけるもの。
 
 
・労働条件通知書と実際の労働条件の異同
求人票(正社員・期間の定め「無し」)をみて応募し採用されました。求人票どおりの労働条件通知書も受けました。しかし、実際の労働条件が異なります。すぐに退職できますか。
 
※労働基準法15条
「(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
○2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
○3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。」
 
※労働基準法15条1項違反は、「三十万円以下の罰金」(労働基準法120条1項1号)
 
※不法行為慰謝料

東京高等裁判所平成12年4月19日判決・労働判例787号35頁
「求人広告、面接および社内説明会において、新卒同年次定期採用者の平均的給与と同等の待遇を受けることができるものと信じさせかねない説明をし、それを信じて入社した者に精神的衝撃を与えたとして、かかる説明が労基法一五条一項(労働条件の明示)の規定に違反し、信義誠実の原則に反するものであって不法行為を構成するとして、その他の不法行為を総合考慮して慰謝料一〇〇万円の支払いが命じられた例」
 
 
・会社が源泉徴収票を出してくれません。確定申告をするために必要なのですが、どうすればよいですか。
 
・会社が賃金を払ってくれません。先日、労働基準監督署に駆け込みました。労基署の担当の方から、連絡してもらいましたが、会社は無視しています。対応がなく困っています。
 
・会社が残業代を払ってくれません。タイムカードや打刻する機械は供えられていませんでした。会社側の資料は手元にありません。私の方で、タイムカードに自分でメモしたもの、私の手帳にメモしたものがあります。これで、会社を訴えることができますか。
 
※労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html
 
◆解雇
 
・新卒で入社し、研修中に、突然、会社から辞めてくれと言われました。私は、働きたい、会社に戻りたいと手紙を出しました。会社の返事は、あなたが勝手に会社に来なくなったので、自主退職として扱っている、とのことです。私は、退職届を出していません、退職するとも言っていません。このような会社の扱いは許されるのでしょうか。

 
・会社に正社員として入社しました。明日から来なくてよい、と言われました。私が上司に連絡すると、退職を促しただけです(退職勧奨による自社退職)、解雇はしてないと言われました。私は、不当解雇と考えています。会社を訴えることはできますか。
 
・正社員入社組です。上司から、辞めて欲しい、会社に来なくていい、と言われました。私は、解雇通知「書」をくださいと言いました。会社として解雇通知は出せないと言われました。そのようなことは許されるのでしょうか。その場合は、どのような法的対応をすれば良いですか。
 
※労働基準法22条(解雇理由証明書)→120条1号(罰金)
「第二十二条 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
○2 労働者が、第二十条第一項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。
○3 前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。
○4 使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は第一項及び第二項の証明書に秘密の記号を記入してはならない。」
 
 
・突然、上司に呼び出され、給与を減額するか退職するか迫られました。どちらも断ったら、離職票(雇用保険被保険者離職票)が送られてきました。即時解雇されました。会社に戻りたいのですが、どうすればよいですか。
 
・入社して、仕事は問題なくやっていました。突然、解雇すると言われました。解雇にあたることはしていません。私は、給与を補償して欲しいと言いました。労基署に相談し、担当者から指導してもらいました。突然、会社の顧問弁護士から和解書が送られてきました。内容は退職金を払うというものでした。受け入れた方が良いでしょうか。
 

・不当解雇を会社が認め、示談金を支払う姿勢を見せています。会社は、身売りを考えていて、お金が無いと言ってきました。これに応じた方が良いでしょうか。会社の資産を調べる方法はないでしょうか。また、会社に通帳の写しを出してもらうことはどうでしょうか。
 
・会社から口頭で解雇と言われました。解雇を争いますが、解雇予告手当を請求しても問題ないでしょうか(徳住堅治『解雇・退職 (シリーズ働く人を守る)』6頁(中央経済社、2012年)。
 
※労働基準法20条1項
「第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
○2 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
○3 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。」
 
・会社から口頭で解雇と言われ、解雇予告手当が振り込まれました。解雇を承認したことになるのでしょうか。これに対する法的対応を教えてください(徳住堅治『解雇・退職 (シリーズ働く人を守る)』6頁(中央経済社、2012年)。
 
・会社から口頭で解雇と言われましたが、不当解雇であり、争いたいです。
@失業手当が欲しいです。離職票(雇用保険被保険者離職票)の交付を会社に請求することは解雇を承認したことになりますか。
A失業手当を受ける場合の手続きを教えてください。
B失業手当を受けた場合に、解雇を承認したことになりますか。
C厚生年金から国民年金の変更手続きの請求・受領は、解雇を承認したことになりますか。

D健康保険から国民健康保険の変更手続きの請求・受領は、解雇を承認したことになりますか。
E離職票(雇用保険被保険者離職票)の右半面に「具体的事情記載欄(事業主用)」に「自己都合による退職」と書いてありました。そのままOに署名押印しようと思いますが、私に法的に不利なことはありますか(東京地方裁判所平成23年3月30日判決・労働経済判例速報2106号25頁)。
F会社が雇用保険の加入手続きをとっていない場合は、失業手当を受けられないでしょうか(徳住堅治『解雇・退職 (シリーズ働く人を守る)』35頁(中央経済社、2012年)。
G離職票(雇用保険被保険者離職票)が交付されない場合は、どうすればよいでしょうか(雇用保険法7条→被保険者でなくなったことの届出義務(対公共職業安定所)、8条→確認の請求)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000140565.html→Q12
 
 
※雇用保険法
「(被保険者に関する届出)
第七条 事業主(徴収法第八条第一項又は第二項の規定により元請負人が事業主とされる場合にあつては、当該事業に係る労働者のうち元請負人が雇用する労働者以外の労働者については、当該労働者を雇用する下請負人。以下同じ。)は、厚生労働省令で定めるところにより、その雇用する労働者に関し、当該事業主の行う適用事業(同条第一項又は第二項の規定により数次の請負によつて行われる事業が一の事業とみなされる場合にあつては、当該事業に係る労働者のうち元請負人が雇用する労働者以外の労働者については、当該請負に係るそれぞれの事業。以下同じ。)に係る被保険者となつたこと、当該事業主の行う適用事業に係る被保険者でなくなつたことその他厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。当該事業主から徴収法第三十三条第一項の委託を受けて同項に規定する労働保険事務の一部として前段の届出に関する事務を処理する同条第三項に規定する労働保険事務組合(以下「労働保険事務組合」という。)についても、同様とする。
(確認の請求)
第八条 被保険者又は被保険者であつた者は、いつでも、次条の規定による確認を請求することができる。
(確認)
第九条 厚生労働大臣は、第七条の規定による届出若しくは前条の規定による請求により、又は職権で、労働者が被保険者となつたこと又は被保険者でなくなつたことの確認を行うものとする。
2 前項の確認については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。」
 

※雇用保険法施行規則16条→離職証明書の交付義務
「(離職証明書の交付)
第十六条 事業主は、その雇用していた被保険者が離職したことにより被保険者でなくなつた場合において、その者が離職票の交付を請求するため離職証明書の交付を求めたときは、これをその者に交付しなければならない。ただし、第七条第一項の規定により離職証明書を提出した場合は、この限りでない。」
 
※雇用保険法施行規則17条1項3号→確認の請求、離職票の交付
「(離職票の交付)
第十七条 公共職業安定所長は、次の各号に掲げる場合においては、離職票を、離職したことにより被保険者でなくなつた者に交付しなければならない。ただし、その者の住所又は居所が明らかでないためその他やむを得ない理由のため離職票を交付することができないときは、この限りでない。
一 資格喪失届により被保険者でなくなつたことの確認をした場合であつて、事業主が当該資格喪失届に離職証明書を添えたとき。
二 資格喪失届により被保険者でなくなつたことの確認をした場合であつて、当該被保険者であつた者から前条の規定による離職証明書を添えて請求があつたとき。
三 第八条の規定による確認の請求により、又は職権で被保険者でなくなつたことの確認をした場合であつて、当該被保険者であつた者から前条の規定による離職証明書を添えて請求があつたとき。
2 前項第一号の場合においては、離職票の交付は、当該被保険者でなくなつた者が当該離職の際雇用されていた事業主を通じて行うことができる。
3 第一項第二号又は第三号の請求をしようとする者は、その者を雇用していた事業主の所在が明らかでないことその他やむを得ない理由があるときは、離職証明書を添えないことができる。」
 
・不当解雇を争いたいのですが、費用が捻出できません。自分で手続きを取りたいと思います。行政ADRという制度を知りました。この制度のメリット、デメリットを教えてください。
 
※【国】労働局あっせん(厚生労働省東京労働局)

あっせん申請書
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/kobetsu_roudou_funsou/_84169.html
あっせん申請書記載例
厚生労働省高知労働局
https://jsite.mhlw.go.jp/kochi-roudoukyoku/roudoukyoku/kanren_shisetsu/zaisyo01/zaisyo01_03.html
※石嵜信憲『労働契約解消の法律実務』820頁(中央経済社、第3版、2018年)
 
 
※【東京都】東京都産業労働局東京都労働相談情報センター
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/soudan-c/center/index.html
 
※制度の比較
解決金額は、「中央値で見ると、あっせんは156,400円、労働審判は1,100,000円、和解は2,301,357円」となっている。
独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働局あっせん、労働審判及び裁判上の和解における雇用紛争事案の比較分析」労働政策研究報告書 No.174(2015年4月20日)
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2015/documents/0174.pdf
 

※透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」報告書(平成29年5月)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000166656.html
 
※解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou_558547.html
 
※第2回解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会資料・参考資料2検討事項に係る参考資料20頁、26頁
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000422855.pdf
 
・労働基準監督署に対する相談
@不当解雇については、労働基準監督署に相談して、争えないでしょうか。
A解雇は争いませんが、解雇予告手当の未払いの場合は、労働基準監督署で相談できますか。
 
※労働基準法20条1項
 
※労働契約法16条

「第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」
※労働基準監督署の所掌事務
厚生労働省設置法22条
「(労働基準監督署)
第二十二条 都道府県労働局の所掌事務の一部を分掌させるため、所要の地に、労働基準監督署を置く。
2 労働基準監督署の名称、位置、管轄区域、所掌事務及び内部組織は、厚生労働省令で定める。」
厚生労働省組織規則790条
「第七百九十条 労働基準監督署は、都道府県労働局の所掌事務のうち、次に掲げる事務を分掌する。
一 労働契約、賃金の支払、最低賃金、労働時間、休息、災害補償その他の労働条件に関すること。
二 労働能率の増進に関すること。
三 児童の使用の禁止に関すること。
四 産業安全(鉱山における保安を除く。)に関すること。
五 労働衛生に関すること(労働者についてのじん肺管理区分の決定に関することを含み、鉱山における通気及び災害時の救護に関することを除く。)。
六 労働基準監督官が司法警察員として行う職務に関すること。
七 政府が管掌する労働者災害補償保険事業に関すること。
八 労働者の保護に関すること。

九 家内労働者の福祉の増進に関すること。
十 技能実習法に規定する労働基準監督官の職権の行使に関すること。
十一 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき労働基準監督署に属させられた事務に関すること。」
 
※解雇の要件
・社会通念上相当
高知放送事件(最高裁判所昭和52年1月31日判決・労働判例268号17頁)
「朝寝ぼうによる遅刻を理由の解雇が解雇権の濫用で無効とされた例」
 
※解雇事由
・労働能力不足、適格性欠如
セガ・エンタープライゼス事件(東京地方裁判所平成11年10月15日決定)
「就業規則の「労働能力が劣り、向上の見込みがない」との解雇条項による解雇が無効であるとされた事例」
なお、中途採用者は除く。
 
・賃金や残業代の未払いがある場合、

@指導、是正勧告が必ず出るのですか。
A刑事事件として立件されますか。
B労働基準監督署が取り締まる場合、未払いの賃金や残業代を取り立ててくれますか。
 
※賃金未払い→労働基準法24条、120条1号(30万円以下の罰金)
 
※残業代未払い→労働基準法37条、119条1号(六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金)
 
◆裁判
 
・賃金不払いの遅延損害金の利率はどのように定めればよいですか。
 
◎労働者が退職「前」は、相手方が個人又は法人いずれも、年3%(419条1項本文、404条2項)
従前、民事法定利率は年5%(改正前民法404条)、商事法定利率は年6%(改正前商法514条、現在は廃止)
 
※改正民法404条2項

「(法定利率)
第四百四条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。
2 法定利率は、年三パーセントとする。
3 前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、三年を一期とし、一期ごとに、次項の規定により変動するものとする。
4 各期における法定利率は、この項の規定により法定利率に変動があった期のうち直近のもの(以下この項において「直近変動期」という。)における基準割合と当期における基準割合との差に相当する割合(その割合に一パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)を直近変動期における法定利率に加算し、又は減算した割合とする。
5 前項に規定する「基準割合」とは、法務省令で定めるところにより、各期の初日の属する年の六年前の年の一月から前々年の十二月までの各月における短期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行った貸付け(貸付期間が一年未満のものに限る。)に係る利率の平均をいう。)の合計を六十で除して計算した割合(その割合に〇・一パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)として法務大臣が告示するものをいう。」
 
※改正民法419条
「(金銭債務の特則)
第四百十九条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
3 第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない」
 
※新民法の適用基準
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html経過措置PDF
 

※新民法附則17条3項(民事)
「施行日前に債務者が遅滞の責任を負った場合における遅延損害金を生ずべき債権に係る法定利率については、新法第四百十九条第一項の規定にかかわらず、なお従前の例による。」
 
※民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律4条3項(商事)
「3 施行日前に旧商法第五百十四条に規定する商事法定利率による利息が生じた場合におけるその利息を生ずべき債権(商行為によって生じたものに限る。)に係る法定利率については、なお従前の例による。施行日前に債務者が遅滞の責任を負った場合における遅延損害金を生ずべき債権(商行為によって生じたものに限る。)に係る法定利率についても、同様とする。」
 
◎労働者が退職「後」、未払いの賃金の遅延損害金の利率は年14.6%となる。
 
※賃金の支払の確保等に関する法律6条1項
「第六条 事業主は、その事業を退職した労働者に係る賃金(退職手当を除く。以下この条において同じ。)の全部又は一部をその退職の日(退職の日後に支払期日が到来する賃金にあつては、当該支払期日。以下この条において同じ。)までに支払わなかつた場合には、当該労働者に対し、当該退職の日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該退職の日の経過後まだ支払われていない賃金の額に年十四・六パーセントを超えない範囲内で政令で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。)」
 
※賃金の支払の確保等に関する法律施行令1条 
「(退職労働者の賃金に係る遅延利息の率)
第一条 賃金の支払の確保等に関する法律(以下「法」という。)第六条第一項の政令で定める率は、年十四・六パーセントとする。」
 
※付加金(労働基準法114条本文)

「第百十四条 裁判所は、第二十条、第二十六条若しくは第三十七条の規定に違反した使用者又は第三十九条第九項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。」
 
・労働審判を申し立てました。大体、どの位の期間で終わりますか。私は、何回裁判所に行けばよいのでしょうか。
 
・労働審判では、具体的に、どのようなことをするのでしょうか。
 
・労働審判を申し立てました。相手方会社が、私が会社の信用を毀損したので、300万円の損害賠償を請求すると主張してきました。どのように対応したらよいでしょうか。
 
・労働審判が下されました。どのような場合いつから差押えが可能でしょうか。
 
労働審判法21条4項
「(異議の申立て等)
第二十一条 当事者は、労働審判に対し、前条第四項の規定による審判書の送達又は同条第六項の規定による労働審判の告知を受けた日から二週間の不変期間内に、裁判所に異議の申立てをすることができる。
2 裁判所は、異議の申立てが不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。
3 適法な異議の申立てがあったときは、労働審判は、その効力を失う。
4 適法な異議の申立てがないときは、労働審判は、裁判上の和解と同一の効力を有する。

5 前項の場合において、各当事者は、その支出した費用のうち労働審判に費用の負担についての定めがないものを自ら負担するものとする。」
 
・地位確認等請求事件の訴訟物
 
【労働審判】
 
@地位確認の請求「雇用契約上の権利を有する地位の存否」
 
A賃金の支払の請求
 
◎解雇「前」(+遅延損害金)
→既発生分
(未払賃金●円とこれに対する賃金支払日の翌日から支払済みまでの遅延損害金)
 
◎解雇「後」(+遅延損害金)
→解雇通告後の賃金支払日の属する月から本労働審判確定の日まで毎月賃金支払日限り●円及びこれらに対する各賃金支払日の翌日から支払済みまでの遅延損害金

∵民法536条2項本文(改正前後、法文同じ)
 
※申立の価額計算は、
◎申立てまでに発生した確定賃金額(解雇前、解雇後含む。解雇「前」は未払分の有無を調査する。請求の根拠は雇用契約に基づく賃金請求権である。これに対し、解雇「後」は民法536条2項の適用により、賃金請求権が発生する。)

◎及び申立て後の将来発生する賃金3か月分

この合算分と@地位確認の請求(160万円)と比較する。
 
B賞与の支払の請求(+遅延損害金)
 
※訴訟の訴額算定は、「東弁LIBRA Vol.12 No.11 2012/11「東京地裁書記官に訊く─ 労働部 編─」4頁
 
※労働審判の場合は、「東弁LIBRA Vol.12 No.11 2012/11「東京地裁書記官に訊く─ 労働部 編─」8頁
「労働審判確定までの賃金を請求する場合,労働審判を求める事項の価額は,労働審判手続申立て時までに発生している請求額と,労働審判手続申立て後,労働審判手続の平均審理期間(3か月)経過時点までに発生する請求額との合計額となります。」
 

・時間外手当請求事件の訴訟物
「雇用契約に基づく賃金請求権、労基法114条に基づく付加金支払請求権」
 
・残業代で労働審判が下されましたが、会社が払ってくれません。会社の資産を差し押さえるために、調査をしたいのですが、できますか。代表者の銀行口座が分かりました。この労働審判書で差し押さえることができますか。
 
 
◆労災事故
・勤務中に、事故に遭い、労災の申請をしました。現在、治療中ですが、後遺症が残りそうと言われています。どのような手続きをすればよいですか。
 
・労災の事故で後遺症が残るとのことです。主治医に、後遺障害診断書を書いてもらうにあたって、注意すべき点はありますか。これ以外に、経緯書のようなものは書いた方が良いでしょうか。
 
・労災保険から「休業補償特別支給金」「障害特別支給金」及び「障害特別一時金」を受けました。これは、加害者に対して、損害賠償を請求する際に、控除すべきでしょうか。
 
◆派遣、違法請負

 

 

TEL:03-3220-0245

受付時間:平日9:00〜18:00

FAX:03-3220-0246

 

 


トップページ 事務所概要 取扱い業務 弁護士 アクセス ご相談の流れ お問い合わせ